私たちの経営戦略指導の根幹をなすランチェスター法則と、それを長年研究しアップデートを続けている竹田陽一先生について解説します。
第一次世界大戦の頃、イギリスのエンジニアであったF・W・ランチェスターが、戦争における戦力差とその成果には法則性があることを発見し、それをシンプルな数式で表しました。日米でその法則を企業や組織の経営戦略に応用する研究が進みました。
日本でのランチェスターの法則の経営応用研究の第一人者が竹田陽一氏(ランチェスター経営代表取締役)です。「強者の戦略」「弱者の戦略」として知られ、数多くの企業で経営戦略に導入されています。民間調査会社で幾多の企業調査に関わった竹田氏は35歳のときランチェスターの法則と出会い、以来経営戦略の研究に取り組むとともに、経営を構成する八大要因の一つ一つに、ランチェスター法則が応用できることを発見しました。44歳で独立して以来、全国での講演はのべ4, 300回、著書は30冊に及びます。ランチェスターの法則を見い出したランチェスター氏の墓参りにとイギリスを7回訪ね、ついには原書を入手し翻訳も手がけています。
「ランチェスター法則の記事を書いた人達(ランチェスター経営株式会社竹田陽一著)」より一部をご紹介します。
目次 1. 2. 日本には英文の原書が200冊以上輸入されていた 3. 1955年9月に再発見 4. ランチェスター法則の研究者が続々と誕生 5. 超強者の田岡先生が亡くなる 6. 日本で説明されている誤りについて 7. 弱者は物的証拠を手に入れないとサルマネの記事になる |
ランチェスター戦略については、これまで多くの人が本を出版したり、講演をしてきたことで、経営戦略の研究に熱心な人達の間では、よく知られた存在になっています。きっとあなたもランチェスター戦略について書かれた本は何冊もお持ちのことでしょう。
私もこれまで、ランチェスター戦略について何冊もの本を出版したり講演もしてきました。1983年にランチェスター経営を創業してから30年になるのを機会に、ランチェスター法則がどのようにして日本に伝わり、これまでどのような人が記事を書いたかについて調査したので、中間発表の形でこの小冊子を編集することにしました。
【7】弱者は物的証拠を手に入れないとサルマネの記事になる
私もこれまでランチェスター法則について何冊もの本が書けたのは、1985年12月にランチェスター先生の墓参りに行き、次の年に「英文の原書」と、キングス・フォードが書いたランチェスター先生の「伝記の原書」を。さらにランチェスター先生の一番下の弟のジョージが兄について書いた伝記の本を手に入れて翻訳したからです。これ以外にも1955年に日科技連から出版された、オペレーションズ・リサーチの翻訳本を手に入れ、これを確かめることができたからだと思っています。
法則の原書と、これ以外の一部を翻訳したものは、ランチェスター経営で発売しています。定価2,500円(税別)。
これだけ広く知られ、しかも何人もの人が記事を書いたり講演でランチェスター法則を説明していながら、法則の原書とランチェスター先生の伝記の本を、きちんと確かめた人がいなかったのは実に不思議な気がします(注)法則の原書は国会図書館に2冊あります。
今後もランチェスター法則を応用して本を出版する人が何人も出てくると思いますが、最も大事なところは原書で確かめるばかりか、基本となる大事な考え方や文書を転載するときは出所を明らかにすべきで、しかも10行以上を掲載するときは本人の許可を得るべきでしょう。
独立して25年になるのをきっかけに、昭和30年代に出版された経営の「古本」を買っては、ランチェスター法則の記事を書いた人がこれまで何人いたかについて調査をしてきました。今回の調査でわかったことは以下の通りです。もし読者の中にランチェスター戦略について書いた「古い人」が見つかったら教えて下さい。