『親から子へ、ランチェスターの神髄を“客観的目線”で繋いでくれた』有限会社 住吉タイヤ工業所 | ランチェスターマーケティング - タイヤショップ・整備工場のランチェスター戦略コンサルタント
2024.05.31
クラウドコンサルティング

『親から子へ、ランチェスターの神髄を“客観的目線”で繋いでくれた』有限会社 住吉タイヤ工業所

先代から続く地場のタイヤ店を自らのアイデアを盛り込み発展させた

まずは、会社の沿革からお話をいただけますか

竹内 政道 様:私が生まれた年に父が創業し、今年で61年目になります。当初はトラックやバスのパンク修理の店からスタートし、私が大学卒業後に入社したころには乗用車のタイヤを扱うようになりました。そこで父が乗用車用のピットとショールームを作り、私がその担当を任されることになりました。

有限会社 住吉タイヤ工業所 代表取締役 竹内 政道 様
有限会社 住吉タイヤ工業所 代表取締役 竹内 政道 様

しかし、これまでトラックやバスといった法人相手に商売をしていたので、乗用車に利用する個人客の認知がほとんどありません。他の店舗を見学して、集客術を学ぼうとも思いましたが、誰かのマネをしたところで意味がない、やはり自分なりのやり方を考え、実行すべきだと考えました。

まずは、お客さんとの会話の中からヒントを得て、乗用車タイヤの展示から始めてみました。しかしそれだけでは、なかなかお客さんには伝わらないので、独学でポップを学び作るなど、展示に力を入れるようになりました。それが功を奏し、徐々にお客様が集まってきました。

しかし、安心してはいられません。周辺に大型店舗が登場し、売上も少しずつ減っていったため、その対策として、一度来店してくれたお客さんにリピーターになっていただきたいと考えるなか、「タイヤ保管サービス」を思いつきました。実は、少し前から、仙台など雪深い地域では、タイヤ保管のサービスがあるという話を聞いていて、メインの取引先にも相談すると「大変だからやめたほうがいい」と言われましたが、私は自分の感覚を信じることにしました。これは間違いなくリピーターを獲得するために必要なサービスだと考えていましたから。

私は価格競争をしたくはありませんでした。「安いから買う」という人は、おそらく次は来店しません。今でもスタッフには、「私たちの良いところをお客さんに伝えるように」と教育しています。私たちのサービスに満足したからまた来店してくれる、という流れを作りたいと思ったのです。

タイヤを店舗に預けることで、そのお客さんはまた来店してくれると考えましたが、そこで利益を出そうとは思っていませんでした。

保管サービスのために倉庫とピットが必要になったため増設を繰り返し、今では18ピットもある、国内最大級の店舗になりました。倉庫もピットも増やしていくことで、相乗効果としてお客さんとのコミュニケーションが増えました。今では年間、5000台のスタッドレスタイヤの脱着をしています。それだけお客さんが来店してくださるわけですから、それに伴って車検やメンテナンスなど他のサービスも伸びています。

有限会社 住吉タイヤ工業所 代表取締役社長 竹内 宏樹 様
有限会社 住吉タイヤ工業所 代表取締役社長 竹内 宏樹 様

竹内 宏樹 様:どんどんカーディーラーに近づいてきていますね。もちろんタイヤがメインですが、車検や保険も扱っていますし、お客さんから要望があったものは、極力対応できるようにしています。

竹内 政道 様:とにかく、地域の中で一番の店を作ろうと頑張っています。ブリヂストンタイヤの展示量や在庫、知識などを極めて、「タイヤのことなら住吉タイヤだね」と言われるように、地域一番戦略というものをすすめています。

ランチェスターの考えだけでなく、経営の厳しさを教えていただいた

ランチェスターマーケティングとの出会いは?

竹内 政道 様:実は、ランチェスターマーケティングの山口さんと出会ったときには、私自身、すでにランチェスターの書籍を読破していました。それは、他店とどう戦っていくか、地域の中で一番になるためにはどうすればよいのか?を考えるなか、参考になる書籍を探している過程で出会っていました。

左から山口、代表取締役 竹内 政道 様、代表取締役社長 竹内 宏樹 様
ランチェスターマー戦略について熱く語る竹内様

私は、ブリヂストン系列のショップ会を立ち上げて、その会長をしていましたが、若手の経営者を集めてランチェスターをテーマとした勉強会を実施する際に山口さんをお招きしました。その勉強会は1年ほど続き、非常に評判も高かったのですが、それで一旦、終了し、山口さんと会うことはなくなりました。しかしそれから5年ほど経った頃、急に弊社の売上が低迷しはじめました。それまでは、自分のやり方でやっていけると思っていましたし、実際に売上が伸び続けていました。だから店頭小売が落ち込むようになったときに、私にはその理由が分かりませんでした。息子も入社したばかりだったのでどうしようかと悩んでいたときに、やはり一度、きちんと教えてもらう必要があると感じ、再び山口さんに相談することにしました。

やはり私一人の考え方ではなく、第三者の力を借りながら、ランチェスター的な考え方を息子に継承したいという思いもありましたね。そのころ私は55歳を迎えたばかりではありましたが、自分一人の考えでは限界があると思うようになっていたのですね。

宏樹 様:私も以前、父からランチェスターの本を勧められたことがありますが、素直には読んでいませんでした。山口さんからいろいろと教わるようになってから理解が深まり、勉強にも熱が入ってきたように感じています。とにかく最初に感じたのは、“この会社を一緒に良くしていこう”という山口さんの熱意でした。それがなければここまでこれなかったと思います。

基本的に世の中の2代目や3代目経営者には甘さがあると思いますが、山口さんに経営の厳しさを教えていただきました。それから自分もエンジンがかかり、いろいろな本などを読み勉強するようになりました。父と2人だったら、そこまでできなかったと思います。山口さんには父との強力なつなぎ役を担っていただいた感覚です。

どうしても親子の間では言葉足らずで伝わらないことがあると思いますが、その間に山口さんが入ってくれて、ランチェスターの法則に基づいて補足をしてくれたり、父がこれまでやってきたことも教えてもらえました。後継者としてそれを聞けたのはとても良かっです。どれだけ素晴らしい理論でも、自分が腹落ちしなければ進めることができないし、その真ん中に熱意がある人がいることが重要なのだと実感しました。

竹内 政道 様:おそらく自分で言っても押し付けるようになってしまいますし、ちゃんと浸透していかないだろうと思っていました。しかし私たちが地域の中で一番になるためにはランチェスターしかないと確信していました。大型店と同じ土俵に上がるのではなく、土俵の違うところで勝負するというのがランチェスター的な考え方なので、私はそれをやりたいと思っていました。

数字を分析して、会社の状態を客観的に見れるようになりました。当時、そういったことは全くしていませんでしたが、分析結果から何が悪いのかが分かるようになりました。それは自分一人の力ではできなかったことです。

今では“これをやればこれが出来る”という方程式に則って進めています。例えばお客さんがスタッドレスタイヤの脱着交換に来ると、その内のおよそ20%がタイヤ交換に繋がるというデータがあります。そういった分析を続けていますが、それを私の独りよがりにせず、今後は息子たちに継承したいと思っています。

とにかく息子が経営に参画するようになったこの5年間というのは、それまで私がやってきた40年とは比べものにならないくらいに勢いが違うと感じています。これは山口さんのおかげでもありますね。

朝6時からのミーティングを提案してくれた

具体的な成果を教えてください

政道 様:私は売上を上げるのではなく、粗利を維持したいと考えていました。今の粗利は約50%ですが、これはタイヤ業界では特出していると思います。売上も、山口さんが来てからは2億円アップし、今では6億円ほどあります。売上が上がりながらも利益率が下がらないというのが、大きなポイントです。従業員数も、私だけで経営していたときは4名ほどでしたが、今ではアルバイトを含めて20名ほどいます。

タイヤの卸売業も始めましたが、タイヤだけでは今後続かないと思っていたので、次男には整備を担当させました。次男が入社してからはメンテナンスや整備での売上が急激にアップしています。そして三男は今、トラック関係の修行に出ています。今年の秋に戻ってくるので、そこからトラック関係の売上を伸ばしていきたいと思っています。

事業を伸ばしていくアイデアがご家族の中で生まれ、それを山口さんのアドバイスをもとに実行していく
お子さんたちも納得しながら続けていけるというサイクルになっているのですね

宏樹 様:最初は自分の感覚でやっていましたが、やはり少しずつ落ちているのが数字にも出ています。ランチェスターなしでは限界がありました。今は店に集中しています。それもランチェスター的な考え方ですね。人間は基本的に欲張りなのであれもこれもと手を出してしまいますが、それで新店舗などを出していくと1店舗あたりの利益率が結果的に下がっていきます。しかしランチェスターのルールに基づいてやっていけば、そうなることはありません。

社内に貼られたランチェスター戦略に関する表

竹内 政道 様:まさに私が勉強した一点集中ですね。周囲からは多店舗化の提案もいただきますが、すべて断っています。

宏樹 様:私自身、仕事に対する熱意と働く時間が大きく変わりました。今、世の中は時短が進んでいてあまり働かなくなりましたが、しかし強い会社の2割の人はかなり働いています。山口さんにも、多くの好例を聞かせてもらい、刺激を受けました。私はまだ30代なので、朝5時から夜9時まで元気に働けます。するといろいろな発想やライバルに勝つ戦術などが浮かんできます。

朝5時からですか?

宏樹 様:会長も朝5時から働いていますし、私もやるべきだと思ったので行っています。1人では続きませんが、山口さんからも朝の6時からのミーティングを提案いただき、一緒になってやってくれるので、今でもこうして続けられています。続けなければ意味がありません。朝の6時というのは早いですが、やはり強くなるためには必要なことだと思っています。

とにかく自ら働きたいと思うようになりましたね。山口さんには、自分から進んで身体が動くというレベルにまで持ってきてもらった感覚です。“仕事をやらされている”という意識でいては絶対に無理ですね。

今後の目標を教えてください

宏樹 様:まず10年後には、車検台数を今の300台から1000台へ増やしたいですね。年間で1000人のお客さんと交流することで、地域で支持される店を目指したいです。とはいえ、あまり大きなことは言わず、1日1日、目先のことを確実にやっていきたいです。それから先のことはまだ分からないので、ライバルよりも3倍も4倍も頑張って、できることをやっていきたいですね。

将来的には自分の妻と兄弟でこの会社をもっと良くして、この地域に絶対に必要な店舗にしていきたいと思っています。

竹内 政道 様:売上だけを上げるのではなく、地域の人に喜んでもらえるお店にすることが重要です。地域のお客さんと遠い親戚関係のような距離感のコミュニケーションを取りながら、“このお店に聞けば安心だよね”と思ってもらえたらいいですね。みんなから頼られるようになれば、自然とお客さんも増えてくると思っています。

今後は法人トラックも間違いなく伸びると思っているので、3人の息子がやるべき事を分担して進めていけば、この地域のみならず、知多半島で一番になれると確認しています。数字に強い会社が伸びると思っているので、会計についても息子たちに学んでもらいたいと思っています。今は長男と次男が主に経営をしているので、数字に強い三男に会計について教えています。

宏樹 様:今後は働き手が少なくなってくるので、私たちみたいな身内での戦略はあるべき姿だと思っています。それで問題となってくるのは兄弟間でのケンカですね。同じくらいの情熱をみんなで持ち続けるのは難しいことですが、そこで山口さんのようなコンサルタントに入っていただき、兄弟の間を取り持ってもらえるとありがたいですね。山口さんを頼りながら、これからも兄弟、家族全員が同じ意識レベルで頑張っていきたいと思います。

fb
x

最新記事

一覧はこちら

データがありません。